犬は何歳からシニア? 愛犬の老化との向き合い方

近年、飛躍的に伸びている犬の平均寿命。1980年代には34歳だったのに対し、2024年は14.9歳とこの数十年の間に犬の平均寿命は10年以上も延びており、とくに小型犬や日本犬系では20歳まで生きる子も増えてきました。

寿命が伸びるということは、シニア期の愛犬と過ごす時間が長くなるということ。それはつまり、すべての飼い主が愛犬の老化に直面することを意味しています。

「うちの子はまだ若いから大丈夫」と安心してはいませんか?これから迎えるその時のために、少しずつ向き合う準備をしていきましょう。

  

犬は何歳からシニア?

 

「◯歳から老犬」というはっきりとした規定はありませんが、ドッグフードの切り替えの推奨年齢やペット保険の加入制限を考えると、一般的には7歳くらいからがシニア期といわれます。人間でいうと4050代、若い頃とは違うなんて思い始める時期ではないでしょうか。

 

大型犬ではもう少し早く56歳頃から、一方 小型犬ではもう少し遅く810歳頃からと犬種や個体によって差はあるものの、老化の兆候が現れ始めるのはこの頃からです。

 

「最近、寝ている時間が長くなった」「ごはんを変えていないのに太りやすくなった」そんなちょっとした変化が実は老化のサインかもしれません。

 

犬の老化は体、行動、性格などさまざまなところに現れます。中には見た目ではほとんど変化が見られない子もいますが、だからこそちょっとした変化や病気のサインを見逃しがちになってしまいます。

 

愛犬がシニア期に入ったら「老化が始まったかも」という意識を頭の片隅に入れて過ごしましょう。

 

犬の老化のサイン


老化現象はある日いきなり始まるのではなく、日々の生活の中で少しずつ変わってくるものです。それゆえに毎日一緒に過ごしている飼い主が見逃してしまいがちなもの。愛犬に変化が現れていないか、今一度振り返ってみませんか?

 

 

体重が増える

年齢を重ねると基礎代謝の低下や運動量の減少などが原因で、以前と同じものを同じだけ食べていても体重が増えてきてしまうことがあります。

 

「若い頃はたくさん食べても太らなかったのに」なんてことありますよね、犬も人間と同じです。シニア期に入ってから愛犬の体型の変化を感じたら、フードの種類や量の見直しが必要なタイミングかもしれません。

 

シニア期には消化吸収に良い良質なたんぱく質が摂れる食事を心がけてあげましょう。 

 

白い毛が増えてきた

人間は歳をとると白髪が増えてきますよね、これは犬も同じです。

 

犬の場合は顔まわりから白い毛が目立ち始めることが多く、毛色の濃い子だと模様のように目立ってくる子、中には全身が白っぽくなる子もいます。これは毛に含まれるメラニン色素が不足することで起こる現象で、健康面での問題はありませんが見た目でわかりやすい老化現象のひとつといえます。

 

また、毛に関する変化として年齢とともに毛量が少なくなる、脱毛するなどもあります。その場合はただの老化ではなくホルモン異常による病気が隠れていることもあるため、著しい変化がみられるときには動物病院で診てもらうことをおすすめします。

  

目が白く濁ってきた

老化とともに目のトラブルも増えてきます。

目の老化による代表的なものは、眼の中の水晶体が白く濁る白内障があります。物にぶつかるようになる、暗い部屋や夜のお散歩で歩きたがらないなどの症状は、目が見えにくくなってきているサインかもしれません。

 

視力自体を回復させることは難しいですが、明るい道や歩き慣れたコースをお散歩する、夜間も部屋を真っ暗にはせず少し灯りをつけておくなどで対策してあげると愛犬の不安が解消されます。 

 

今まで苦手だったものが大丈夫になった

若い頃に花火や雷などの大きな音を怖がっていた子が音を気にしなくなる、男性が苦手で怯えていた子が拒否反応を示さなくなるなど、それまで苦手だったものがいつの間にか大丈夫になるということがあります。

 

いいことのように思えるかもしれませんが、実はそれも視力や聴力の低下、脳の認知機能の低下による周囲への関心の薄れなどから起こっている老化現象のひとつかもしれません。

 

反対に、今まで気にしていなかった音や物などに過剰に反応するようになることもあるので、どのような変化があったかなぜそうなったのかをよく観察してあげましょう。

 

愛犬の老化との向き合うために


人間よりも速い時間の流れの中で生きている犬たちは、私たちが想像している以上に早く老化が始まり進行しているものです。

 

犬の7歳は個体差こそあるものの人間でいう4050代、20代の頃と同じようにはいかなくなってくるものです。

 

愛犬と過ごしている中で「そういえば前とはちょっと違うな」と思ったことはありませんか?それは愛犬からの老化のサインです。

 

15年以上の犬生を考えると7歳はまだまだ若いと感じるかもしれませんが、早い時期から老化に気付き、受け入れ、向き合ってあげることこそが長生きのポイントです。

 

気になる変化があれば獣医をはじめとする動物のプロに相談してみる、年齢や変化に応じて生活スタイルや食生活を見直してみるなど、無理なく快適に過ごせる環境づくりとケアを心がけて、愛犬のシニア期を穏やかで幸せなものにしてあげましょう。