ペットロス体験記(りょうさん)

ある時期から室内犬を飼い始め、合計3匹のわんちゃんと共にすごしていました。いつも仲良く一緒に走り回っていた子たち。
この子たちと出会い、生活を共にする中でたくさんの笑いや癒しをもらいました。
そして別れも訪れます。それぞれ特徴の異なる別れ方でした。とてもかなしいものでしたが、時間の経過もあって、あるときから家族と笑って語れるようになりました。そんな愛犬たちとの生活と私たち飼い主の心境の変化について綴っていきたいと思います。
愛犬たちの紹介
まず室内犬第一号のUちゃん。黒い毛並みのミニチュアダックスフンド。
性格は唯我独尊。猪突猛進。勇猛果敢。ようするに超強気で吠えまくるような感じです。
次に紹介するのはSちゃん。茶色い毛並みのミニチュアダックスフンド。この子の性格は超絶おとなしい。吠えるのが珍しくて吠えると家族で話題になるほど。
いつもUちゃんの後ろにくっついて歩いてる、そんな光景が多いです。
最後はミックス犬のG君。中型犬でこの子は少し遅れて室内犬の仲間入りになりました。
幼少期の、身体がまだ小さいときにUちゃんたちとの仲間入りを果たし、主にUちゃんから甘噛みなどいろいろ手ほどきを受けました。
Uちゃんに育てられたと言ってもいいです。そのせいか身体が大きくなってからでも、Uちゃんには逆らえません。
犬社会は縦社会の属性があるのでしょうか。身体がUちゃんの何倍もあるのに、決して歯向かおうとはしません。序列も3番目なのか、Sちゃんにも一歩引いているような気がします。
当人(犬)の性格もあるかも。非常にのんびりとした性格で、カバさんのようなといいますか、インターホンがなるとほかの2匹が吠える中我関せずと寝ています。

突然の別れ
3匹との生活が日常でしたが、突然別れが訪れます。
ある朝Uちゃんが一声感高く鳴くとそのまま旅立ってしまいました。
若くはないけどまだまだ高齢ではない年齢。特に病気はなく、予兆も感じさせず昨日まで元気に走り回っていました。
見送るのは最低でも5年は先だと思っていたため、結構衝撃でした。
普段のうるさいほどの元気っぷりから旅立つ姿が想像できず、実際元気がなくなる姿を見せずに旅立っています。
Sちゃんの変化
そのせいか、突然消えた感覚が強く、なかなか気持ちの整理がつきませんでした。
そんな中愛犬の変化に気づきます。ものすごくおとなしい性格のSちゃんが突然リーダーシップを発揮し始めたのです。
序列的に愛犬の中でSちゃんがトップになったからでしょうか。インターホンが鳴るとSちゃんがかかんに吠えてこれまでUちゃんがこなしていた番犬の役割を果たしています。
G君は相変わらずその後ろで、のそっとたたずむだけですが。
そんな愛犬たちの変化を目の当たりにするにつれ、すこしずつですがUちゃんの旅立ちを受け入れていきました。
残りの子たちの見送り
そのまま何年も新しい環境が続きます。新リーダーのSちゃんもだいぶお年を召していき、自然と老衰で旅立ちました。
年相応であり自然に起こりうる出来事として、かなしみの中見送りました。
最後に残ったのはG君です。この子はひとりになっても相変わらず。特にリーダーになるわけでもなく(ひとりなのでリーダーもないのかも)、宅配便の人が来てもまったく吠えず、自分の寝床ですやすや眠っています。
この子も旅立ちは老衰ですが間際に介護を経験しました。それなりに大変さはありましたがその分別れも気持ちの整理がつきやすかったです。
流す水の量は同じ
ある人が見送りについて語っていました。どの別れも総合的に流す水の量は同じであると。
突然の別れは介護を必要としないけど、心の準備が出来てない分たくさん泣く。
介護のあるケースは、重労働を流す汗ととらえて、その行為は大変だけど自然と別れに対する心の準備は整っていく。
前者の心理的な負荷である流す涙。
後者の肉体的な負荷である流す汗。
これらがイーブンだと、どちらに優劣はないと、そのように捉えていて、なるほどなと感心しました。
あの子たちから学ばせてもらったこと
愛犬たちを順次見送って、しばらく経ったある日のこと、家族間でUちゃんの話題がぽろっと出ました。
「ほんとUちゃんって駆け抜けたってかんじよね〜」
老いを見せるまもなく旅立ったUちゃん。突然の別れはつらかったけど、その分思い返すのは元気だった姿ばかり。
というか傍若無人の姿ばかりが目立ちます。ほかの子も思い出話に花を咲かせますが、特に笑いが多いのはやはりUちゃん。
たまたま人間のパンをくわえることに成功し、寝床に持ち帰ろうとして飼い主に気づかれ、声をかけられるとそのまま固まって動かなくなったり。
「まさかSちゃんよりUちゃんが先にいくなんてね〜」
人生というか犬生というか、なにが起きるかわからんものです。
まあそれでも落ち着くところに落ち着くような、そんな気がします。
唯我独尊に駆け抜けたUちゃん。
リーダーシップを発揮し出したSちゃん。
変わらずいつまでものっそり生きたG君。
この子たちから学ばせてもらったように、人生もきちんと落ち着くところに落ち着いてくれる。今はそんな気がしています。

